また今月も売上も利益も減ってしまった。やはり、あのとき無理をしてでも舵を切っておくべきだった。オリンピック景気も思ったほどではなく、終わってしまえば、一気にしぼんでしまった。

2017年、あのときは特需が終わったとは言え、稼働率は維持できていたし、人手不足もあって、そこそこ新しい仕事の依頼も続いていた。なんと言っても頼りにしていたお得意様からは安定して仕事をいただいていたので安心していた。

工数や物販のビジネスが厳しくなると世間で騒いではいたが、正直なところ実感はなかったし、例えそうなるにしても、まだしばらくは大丈夫だろうと高をくくっていた。

それが、なんてことだ。頼りにしていたお得意様が、クラウドへの全面移行を打ち出して以降、どんどんと仕事が減ってしまった。我が社はクラウドの実績もスキルも乏しいと、プロジェクトの中核からは外されてしまったのだ。お客様は、これまで付き合いのなかった会社に仕事を依頼するようになり、彼らが我々に取って代わった格好だ。

クラウドへの移行なんて、そんな簡単にできるはずがないと思っていた。結局は長年付き合いのある我々がいなければ難しいから、その間にキャッチアップして主導権を取り戻せるだろうと思っていた。しかし、見通しが甘かった。こんなことになるとは、正直なところ驚いている。

結局、我々に任されたのは「そのまま残すシステム」であり、これもやがては新しいシステムに移行されれば、もはや我々の仕事はない。

以前はサブシステム毎に人を貼り付けて仕事をもらっていた。それが、安定して仕事をもらえる理由でもあった。しかし、彼らは、属人性を無くすために超高高速開発ツールを駆使して、またクラウドならではのサービスや手法を駆使してシステムを刷新しようとしている。これからのビジネスを考えたら現行システムを移行するよりも作り直した方が賢明であり、その方が早くできると考えたのだという。しかも、アジャイル開発だ。

アジャイル開発なんて基幹業務で使えるはずはないと思っていた。所詮、小規模なWebアプリケーション程度だろうと考えていた。しかし、これほど大規模なシステム開発をアジャイルでやるなんて、もう訳が分からない。

プロジェクトの主導権を握った会社の責任者は、「アジャイル開発とは、本当に必要なアプリケーション・サービスだけをジャストインタイムかつバグフリーでユーザーに提供する取り組みです」と言っていた。“アプリケーション・システム”を開発するのではなく、“アプリケーション・サービス”を提供する?我々の仕事はシステムを開発、運用し、その工数を稼ぐ仕事だと考えていたが、彼らにはどうもその発想がない。しかも、バグフリーだって?アジャイル開発とはいったい何なんだ。

意味が分からないし、そんなことなどできるはずがないと思っていた。しかし、かれらは言葉通り確実に成果を出している。しかも、クラウドへの移行と運用の自動化を同時並行ですすめている。これもまた、我々の仕事を減らす原因になっている。

他のお客様からの仕事も減っている。新規もままならない。世間では、相変わらずの人手不足と言いながらも、新しい仕事がなかなか受注できないのは、ひとえに我々にテクノロジーがないことに尽きる。

クラウドも一通りはこなせるようになったが、AWSやAzure、Googleなどの大手クラウド事業者が矢継ぎ早に繰り出すサービスに追従できていない。しかも、彼らの根幹は「セルフ・サービス」だ。つまり、業務の現場に近い人たちが、自分たちでシステムを開発、運用できる仕組みを充実させている。そんなことは、日本の企業には無理だと思っていたが、大手ユーザー企業はできる人材をIT企業から引き抜き、そのための組織を確実に充実させている。うちからも何人も引き抜かれてしまった。

また、大手SIerも工数需要が減り続ける中、下請けに仕事を任せるのではなく、自社で完結させようとしている。そのため、お客様の業務の現場に社員を送り込み、ITを活かしたビジネス開発に関わると共に、クラウドを前提に開発や運用を一手に引き受ける体制を充実させてきた。そのおかげで、我々にまわってくるのは、そのおこぼれにすぎない。

AIもちょっと前までは、うちには関係ないと思っていたが、もはやデータベースみたいなあたりまえの存在になっている。IoTも業務の現場に関わってこなかったので相談されることもなく、また、こちらから仕掛けることもなかったので結局は何もしてこなかった。完全に出遅れてしまった。

当時は既存の業務で稼働率も高く、売上も確実に確保できていた。一方で、利益率はあいかわらず低かったので、新しいことに人手を割いて稼働率を下げてしまえば、最低限の利益も確保できない状態だった。だから、新しいテクノロジーを習得したり、新しいビジネスにチャレンジしたりする余裕などなかったのだ。しかし、その考え方が、いまとなっては徒(あだ)となっている。

確かにこのままでまずなぁという兆候はあった。稼働率は上がっていても利益率が下がり続けていたからだ。だから稼働率を上げることに必死だったし、そのことが新しい取り組みを後回しにさせるのも仕方がないと考えていた。そんな悪循環を断ち切る決断ができなかった。いま思えば、それが失敗だったのだ。

「何処でもやります。」が自分たちの強みだと考えていた。それでいて他に強みと言えるものはなかったので、安さで勝負するしかない。そうやって稼働率を維持していたわけだから、当然利益率は下がる。人手不足だったからそれでもまわっていたが、ここまでクラウドや自動化が当たり前になると、もはや「普通のことなら何でもできます」は、まずは切り捨てられる対象になる。しかも、これまでは情報システム部門にしか繋がりはなく、彼らのミッションはコスト削減なので、ますますコストは切り詰められ利益が圧迫される。

ITの役割が事業の競争力を生みだすために大きな役割を持つようになったいま、IT予算にかかわる事業部門の発言力が高まっている。彼らは、一緒になってビジネス・プロセスを考えほしいと期待しているわけで、言われた通りやればいいという訳にはいかない。

これまでは事業部門の取り組みに無関心だったし、経営者の意向なんて知るよしもなかった。その結果が、いまのざまだ。

この会社の未来を悲観して、優秀な連中がどんどんとやめていった。結果として、昔のやり方を変えたくない人たちが平均年齢を上げている。なぜ、こうなる前に手を打たなかったのかと、いまさらながらに悔やまれる。

クラウドを前提に、AIやIoT、ブロックチェーンなんて、当たり前の時代に、いまさらそれを後追いしても、どこかの下請けに甘んじるしかない。テクノロジーに強みがなければ勝負にならない。自分で自分の未来が描けない。

2017年の特需の終わりかけたときに、動き始めるべきだった。さあ、いまさらだが、どうしたらいいのだろう。

2020年12月17日 社長の日記より

 

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2月14日(水)よりスタートする次期「ITソリューション塾・第27期」の受付を開始致しました。

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日程 2018年2月14日(水)~4月25日(水) 18:30~20:30
回数 全11回
定員 80名
会場 アシスト本社/東京・市ヶ谷
料金 ¥90,000- (税込み¥97,200) 全期間の参加費と資料・教材を含む
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【お願い】早期に定員を超えると思われますので、まだ最終のご決定や参加者が確定していない場合でも、ご意向があれば、まずはメールにてご一報ください。優先的に参加枠を確保させて頂きます。
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第27期は、これまでの内容を一部変更し、AIやIoTなどのITの最新トレンドについての解説と共に、そんなテクノロジーを武器にして、どうやって稼げばいいのかについて、これまで以上に踏み込んで考えてゆこうと思います。また、働き方改革やこれからのビジネス戦略についても、皆さんに考えて頂こうと思っています。

SI事業者の皆さんには、これからのビジネス戦略やお客様への魅力的な提案を考える材料を提供します。
情報システム部門の皆さんには、自分たちのこれからの役割やどのようなスキルを磨いてゆく必要があるのかを考えるきっかけをご提供します。

講義で使用する500ページを超える最新のプレゼンテーションは、オリジナルのままロイヤリティ・フリーで提供させて頂きます。お客様への提案、社内の企画資料、イベントでの解説資料、勉強会や研修の教材として、どうぞ自由に活用してください。

古い常識をそのままにお客様の良き相談相手にはなれません。
「知っているつもりの知識」から「実践で使える知識」に変えてゆく。そんなお手伝いをしたいと思っています。

ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA

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2017年12月版・改訂/追加リリース

最新版【12月版】を更改しました

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・量子コンピュータのプレゼンテーションを追加しました。
・各チャートの解説文を大幅に追加・改訂しました。
・デジタル・トランスフォーメーションについて追加・改訂しました。
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サンプル:量子コンピュータ

ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRAよりロイヤリティフリーにてダウンロードできます。ほかにも、3000ページほどのプレゼンテーションやドキュメントがロイヤリティフリーでダウンロード(パワーポイント形式、ワード形式、エクセル形式)できます。

今月度の追加・更新の詳細は以下の通りです。

ビジネス戦略
【改訂】デジタル・トランスフォーメーションの意味 p.5
【新規】デジタル・トランスフォーメーション実践のステップ p.11
【新規】デジタル・トランスフォーメーションとは p.12
【新規】SIビジネスのデジタル・トランスフォーメーション p.13
【改訂】SIビジネスの変革を牽引するトレンド p.16
【新規】収益を生みだすビジネス構造 p.17
【新規】働く現場で何が起こっているのか? P.33
【新規】SI事業者の「働き方改革」 p.34
【新規】「働き方改革」で何を目指すのか p.35

開発と運用
【改訂・解説文】情報システムにもとめられる品質 p.5
【改訂・解説文】これからの開発と運用 解説文の改訂 p.6
【改訂・解説文】開発と運用の関係や役割を変革するDevOps p.25
【改訂・解説文】コンテナとDevOpsの関係 p.36
【改訂・解説文】コマイクロサービス p.38
【改訂・解説文】イベント・ドリブンとコレオグラフィ p.39
【改訂・解説文】超高速開発ツール p.41
【改訂・解説文】コレ1枚でわかるFaaS  p.42
【改訂・解説文】これからのITとITビジネス p.48
【改訂・解説文】SRE(Site Reliability Engineer) p.49
【改訂・解説文】APIエコノミー p.51

インフラとプラットフォーム
【改訂・解説文】サーバー仮想化とコンテナ p.95
【改訂・解説文】デスクトップ仮想化とアプリケーション仮想化 p.97
【改訂・解説文】ストレージの仮想化 p.102
【改訂・解説文】SDNとNFV p.103
【改訂・解説文】SD-WAN p.104
【改訂・解説文】サーバー仮想化の3つのメリット p.106
【改訂・解説文】コンバージド・システムとハイパーコンバージド・システム p.135
【改訂】ストレージ性能の推移/1台当たりの容量 p.214
【新規】インフラでの重複排除/圧縮 p.220

テクノロジー・トピックス
【改訂・解説文】「ムーアの法則」と「メトカーフの法則」 p.5
【改訂】VRとARとMR (MRを追加、チャートと文言を改訂) p.14
【新規】従来の方法(集中台帳)とブロックチェーン(分散台帳) p.37
【新規】「量子コンピュータ」についての新章を追加 p.66〜79
 量子コンピュータの必要性
 これまでの古典コンピュータで解けない問題
 循環セールスマン問題(組み合わせ最適化)
 量子コンピュータとは何か
 量子力学
 量子コンピュータの適用分野
 BitとQubit
 量子コンピュータが高速で計算できる理由
 量子コンピュータの種類
 量子コンピュータの現状
 自然現象を借用したアルゴリズム
 量子イジングマシンとスパコン
 D-Waveの計算原理

ITの歴史と最新のトレンド
*追加・変更はありません

サービス&アプリケーション・先進技術編/人工知能
*追加・変更はありません

サービス&アプリケーション・先進技術編/IoT
*追加・変更はありません

サービス&アプリケーション・基本
*追加・変更はありません

クラウド・コンピューティング
*追加・変更はありません

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