2022年末のChatGPTの登場以来、AIは凄まじい勢いで社会を変えようとしています。このAIの大波は、当然、システムインテグレーション(SI)業界にも例外なく押し寄せ、私は強い危機感を抱いています。
「AIがコードを書く時代に、自分たちの仕事はなくなるのではないか?」
「人月商売は、もう本当に限界ではないか?」
業界の皆さまとお話しする中で、このような不安の声を数多く耳にしてきました。
その漠然とした、しかし拭い去れない不安に対する私からの回答であり、未来への処方箋として世に問うのが、このたび上梓した新著『システムインテグレーション革命 〜AIの大波に立ち向かうための脱人月シナリオ〜』です。
なぜ私は『SIビジネスの崩壊は目前だ』と断言するのか?
私は2014年の『システムインテグレーションの崩壊』、2016年の『システムインテグレーション再生の戦略』を通じて、SI業界が抱える構造的な問題に警鐘を鳴らし続けてきました。そして8年が経った今、AIという決定的な引き金によって、その危機は最終章に突入したと確信しています。
本書の「はじめに」で、次のように書きました。
AI駆動開発による生産性の劇的向上、予測不能な変化に即応するアジャイル開発、クラウドネイティブへのシフト、DevOpsとAIOpsの融合、そしてユーザー企業による内製化の拡大などは、従来のSIビジネスを支えてきた「工数」という概念そのものを過去のものにしようとしています。もはや、人月ベースのビジネスモデルでは、この大波に立ち向かうことはできません。
この現実は、非常に厳しいものです。過去の成功体験や『コロナ特需』という一時的な追い風は、変革への危機感を鈍らせる“甘い毒”に他なりません。その毒に安住し、変革を先送りにしてしまえば、いずれ『人はいるのに仕事がない』という悪夢が現実のものとなるでしょう。特に、多重下請け構造の中で必死に事業を継続してこられた中小の事業者の方々にとって、これはもはや単なるリスクではなく、目前に迫った“死活問題”なのです。
■これは「終焉」の書ではない、「革命」の指南書だ
しかし、私が本書で伝えたかったのは、悲観論や終末論ではありません。むしろ、この危機を乗り越え、SIerが自らの手で未来を切り拓き、新たな価値を創造する主役になるための、具体的で力強い「革命のシナリオ」です。
その核心こそが「脱人月」です。
生き残る道はただ一つ。売るものを「工数」から、「技術力」へと転換することです。それは単に新しいツールを使いこなすことではありません。次々と現れる新技術の本質を見抜き、それを駆使して顧客の課題解決やビジネス変革をリードする力、すなわち「AIと共に価値を創造する能力」です。
本書では、SIerが自らのビジネスを再定義し、「革命」を成し遂げるための具体的な道筋を、私のこれまでの経験と知見の注ぎ込んで描き出しました。
- システム開発から、AIを活用した事業開発・事業変革支援への大胆な転換
- アジャイル、DevOpsといったモダンITの真の定着と、AI活用の日常化
- パーパスドリブン経営と、AI時代に不可欠なエシカルガバナンスの実践
単に方向性を示すだけではなく、具体的に何をすればいいのかを整理しています。これらを羅針盤として、従来の“外注先”という立場から、顧客とビジネスを共創する“パートナー”へと進化する道筋を、ぜひ見出していただきたいと願っています。
■未来は、あなたの「選択」にかかっている
AIというテクノロジーがいかに進化しようとも、AIが勝手に世の中を変えることはありません。AIを「何のために、どう使うのか」を決めるのは、私たち人間です。だからこそ私は、技術論に終始するのではなく、企業の存在意義(パーパス)や価値観こそが、これからの時代を生き抜くための土台になります。
だからこそ、私たちは「AIを既存のSIビジネスにどう活かすか」ではなく、「AIが前提の社会で、自分たちはどう変わるべきか」を問わなければなりません。目指すべきは、AIで既存業務を“改善”することではありません。AIを前提に、ビジネスそのものを“新しく作り変える”こと。それこそが、本書で私が訴える「革命」なのです。
本書で私が提示したシナリオは、決して平坦な道のりではないでしょう。しかし、この革命を先延ばしにすれば、いずれ本当の意味での“崩壊”が訪れます。もはや一刻の猶予もありません。
AIの大波に飲み込まれるのか、それとも自ら波を乗りこなし、新たな価値を創造する航海に出るのか。その分かれ道が、今まさに私たちの目の前にあります。本書が、経営者、マネージャー、そして現場で奮闘する全てのエンジニアにとって、自らの手で未来を切り拓くための『羅針盤』となることを、心から願っています。ぜひ、本書をたたき台に、あなた自身の『革命のシナリオ』を描き始めてください。
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