「SIと運用が消える!」
日経コンピューターの6月7日号に、そんな衝撃的なタイトルが掲載されていました。その記事の内容を一枚のチャートにまとめてみました。
TCO負担の増大、変更変化に対する柔軟・迅速な対応は情報システムに求められる喫緊の課題です。この潮流を考えれば、プライベートかパブリックかの違いはありますが、クラウドへと行き着く流れは必然といえるでしょう。
現在、クラウドの定義として、NISTの分類が広く受け入れられています。この記事の整理は、この定義とは異なる視点でのクラウドの定義と言えるかもしれません。むしろ、情報システムの構築や運用の実務に即した視点であり、なかなかわかりやすいものになっています。
この整理から読み取れるポイントは「専門スキルのコモディティ化」です。
これまで、SIerは情報システム基盤の構築に当たり、その専門スキルを駆使して、最適なハードウェアとソフトウェアの組み合わせを提供してきました。また、運用のスペシャリストがその職人技を駆使して、運用の現場で起きる様々なインシデントに臨機応変に対応し、システムの安定稼働を維持してきました。
それら専門ノウハウが、クラウド・サービスやアプライアンスに組み込まれ、誰もが最高のノウハウを容易に利用できる時代になろうとしています。
これまでは、これらはSIerの仕事であり、その対価が収益の源泉でした。それがサービスとして、あるいは製品として安い費用で利用できるようになるのです。
個々人の能力やモラルといった労働品質のばらつきを気にする必要もありません。時間もコストもかかる人材の育成も必要ありません。そういう時代を迎えようとしているのです。
開発の方法も大きく変わることになります。次のチャートは、やはりこの記事に書かれた内容を私なりに整理し直したものです。
つまり、開発者と運用者の区別はなくなります。「運用を理解した開発者」がこれに置き換わります。運用業務自体はシステムが行ってくれます。つまり、運用担当者を必要としません。DevOps(開発と運用の壁をなくし、円滑なビジネスを展開するプラクティス)が当然のことになろうとしています。
Amazonのクラウド・サービスは、既にこのような仕組みをサービスとして提供しています(AWS Elastic Beans Talk)。また、IBMが発表したPure Systemsもプライベート・クラウドのアプライアンスとして、この考え方を取り入れています。
情報システムのサービス化は、今後ますます進むことになるでしょう。サービスは、開発と運用が同時進行するビジネス・モデルです。SIerがこれまで手がけてきたウォーターフォール型のビジネス・スタイルとは大きく異なります。そんなサービス・ビジネスの受け皿としても、この仕組みは不可欠なものになってゆくと考えられます。
このような時代の変化に、SIerはどう対処すれば良いのでしょうか。次回のブログでそのあたりを考えてみます。
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