「うちの強みって、なんでしょうかねぇ・・・」
ある中堅SI事業者の営業課長の口から、こんな言葉が出てきた。
私は、強みのない会社などないと思っている。当然のことだろう、何も強みを持たないところにお客様は仕事など頼むだろうか。
私は、この営業課長に、「しかし、もう20年近くA社(お客様)で仕事をされてきてるじゃないですか。」と切り返すと・・・「腐れ縁ですから(笑)」という言葉が返ってきた。
「そこが強みじゃないですか!」と申し上げると、彼はきょとんとした顔をしていた。
私達は、自分たちにできる技術や取り扱っている商品を引き合いに出し、それを他社と比べることで自分たちの強みを考える。しかし、このような見方をすれば、中堅・中小のSI事業者は大手SI事業者やソリューション・ベンダーに太刀打ちできるはずがない。その意味で強みがないといえば、全くその通りだろう。
しかし、20年にわたるお客様との信頼関係は、どうやって築かれたのだろうか。誠実な仕事ぶり、無理を聞き、お客様のかゆいところに手が届く仕事をしてきたこと。何よりも、お客様の担当者以上に特定の業務やシステムに精通していることが、強みではないのだろうか。たとえ大手企業であろうとも、この「強み」をそう簡単に手に入れることはできないはずだ。
以前、このブログで「お客様の困ったをメニュー化する」という話を書いたことがある。そこでも申し上げたが、自分のできることを資産と考えるのではなく、お客様自身を資産と考えるなら、自分たちの「強み」を違う目線でとらえることができるのではないかと思う。
だからといって、現状にあぐらをかいていていいはずはない。お客様の現場を知っているが故に見えてくる「お客様の困った」や、お客様の気づいていない様々な課題をお伝えすること。そして、その解決策を提案すること。
「これができるのはあなたの会社だけですよ。ほかの会社には、そう簡単にまねのできないことですよ。それが、あなたの会社の強みではないでしょうか。」
もちろん、時代の潮流を読み、新しいことに果敢にチャレンジして競合優位を築く取り組みを、怠るべきではない。ただ、これを「強み」に育てることは、そう簡単なことではないことも事実である。特に体力のある大手とガチンコで勝負するとなると、これはなかなか大変なことだ。
お客様の現場にいるからこそ見えるものがある。それを整理してみてはどうだろう。また、それを他のお客様を担当するチームと共有してみて欲しい。「なんだ、一緒じゃないか」ということになる。
そして、これに対応すべく、それぞれのチームがお客様個別に同じようなやり方で対応していることに気づくだろう。ならば、それを会社全体で、組織的に対応できる仕組みを作ったらどうだろう。それは他の会社にも使っていただける可能性は高い。このような取り組みが、お客様の立場に立った魅力的な製品やサービスを生み出すのではないだろうか。
「強み」を世の中の常識的視点(?)だけでみるのはやめにしてはどうだろう。自分たちにしかできない「強み」は間違えなくある。青い鳥の話ではないが、それはきっと自分たちの身近なところにあるのではないだろうか。
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