「最新ITトレンド・1日研修」の受講者から頂いた質問への回答を文章にしてみました。
大手SI事業者の新入社員、300名ほど相手にしたオンライン講義の中で、600を超える質問やコメントが書き込まれました。流石にそれら全てに回答することはできませんでした。そこで、共通して関心が高かったことやこれは伝えておいた方が良さそうだと思った質問に文章で回答をまとめました。
新入社員の皆さんや若い人たちにも参考になるのではとの思いから、ここに紹介させて頂きます。
学ぶ機会というのは、いつも足りないものです。それは、世界は多様で、変化し続けているからです。一個人が、一生掛けても、全ての知識を手に入れることはできません。だからこそ、私たちは学び続けなければならないのです。
- 自分は何も分かっていない。どうしよう。
- これは抑えておかないとヤバいぞ。
- えっ、こういうことがあるのか。調べておいた方が良さそうだ。
もし、あなたが、いまそういう思いを持っていれば、それはあなたが成長の軌道に乗っている証拠です。何をどれだけ知っているかではなく、こういう思いがどれほど強いかが、大切なのです。学び続けるべきテーマが途絶えることはありません。日々湧き起こってきます。だらこそ、自分の不足を意識し続けることが、学びの原動力となるのです。
学びに限界はありません。何を学ぼうかに悩む必要もありません。これは面白そうだ、ワクワクするに巡り会ったら、ノリと勢いで、そこに飛び込んでみることです。
学びには、そんなノリと勢いが必要です。役に立つだろうかとか、やるべきだろうかなどと躊躇しないことです。始まったばかりのあなたの社会人経験で、そんなことを評価できるはずはありません。また、いま求められている知識が、将来も必要であり続ける保証もありません。そんなことはだれも分からないのです。
ノリと勢いは、間違えなくあなたの一生にとって、最大の財産になります。ぜひ、新入社員研修の期間をうまく使って、そんな学びの習慣を手に入れてください。
頂いたご質問への回答
【質問】ITについての情報を入手する方法を使っての知りたい
【回答】まずは何を知りたいのか、何を解決したいのかを決めること
情報を手に入れることは、仕事の基本です。その能力の高さは、仕事のパフォーマンスを左右します。しかし、どこかのサイトを見れば、このツールを使えば、あるいはこの本をよめば、必要な情報を効率よく手に入れられるということはありません。
大切なことは、「何を知りたいか、何を解決したいか」を、まずは明確にすることです。例えば、クラウドについて知りたい、AIについて知りたいでは、情報源は異なります。また、AIについても、理論的なことを知りたいのか、実用例を知りたいかによっても違ってくるでしょう。
情報を手に入れたいのなら、まずはこの「何を知りたいのか、何を解決したいのか」を決めることです。これさえ分かれば、検索できます。あるいは、チャットAI(例えば、Bingチャット、ChatGPT、Gemini、Claude3など)で、「〇〇について、その専門知識がない人でも分かりやすいように解説してください。」とでも聞けば、それなりに整理された情報を手に入れられるはずです。曖昧な質問でも、それなりの答えを返してくれます。
回答を見て、「この言葉はどういう意味だろう」、「この説明がよく分からない」などに出くわすはずです。そうしたら、またそれを検索する、チャットAIに質問することで、さらに関連する情報を手に入れることができます。これを繰り返しながら、自分の知識を整理するといいでしょう。
そして、「これはちゃんと理解しておいた方がいい」と感じたら本を読んで下さい。私も何作か本を書いていますが、本を書くのに注がれるエネルギーはネットの記事などとは桁が違います。新しいことをアップデートする、何のことなのかを可決に捉えるならネットの情報はとても役に立ちますが、基本を抑え、しっかりとした知識を定着させたければ、本を読むことです。
幅広く情報を手に入れたければ、ひとつのテーマを深掘りすることです。そうすれば、関連する情報がさらに手に入り、結果として、幅広い情報を手に入れることができます。こういうことを繰り返すことで、情報の幅が拡がっていきます。
情報というのは、その情報単体、つまり辞書のような解説を知るだけでは、あまり役に立ちません。そういう情報/言葉を知ったという程度の自己満足に終わってしまいます。
「知る」とは、「言葉を知る」、「他人に説明できる」、「仕事や生活に使える」の三段階があります。ネットの記事や本を読むだけでは、「言葉を知る」程度です。でも、上述のように、そのつながりを探り、その情報を含む全体像が分かれば、「他人に説明できる」や「仕事や生活に使える」に至ります。このように、情報全体のつながりを把握することを「理解する」と言います。そのつながりを拡げていくことを「理解を深める」といいます。「理解を深める」には、本を読むことも大切です。
タイパ、コスパを意識して効率よく情報を手に入れようとしても、それでは「情報を手に入れる」という行為に満足するだけで終わってしまい、真の理解にはほど遠いものです。
焦る必要はありません。「何を知りたいのか、何を解決したいのか」を使っての問い、よく考えることから始めて下さい。これを繰り返し、続けることで、気がつけば、あなたは豊富な”使える知識”の持ち主となり、人生を豊かにしてくれるはずです。
【質問】ITのトレンドをキャッチアップしたい
【回答】何のために、ITのトレンドをキャッチアップしたいのかの答えを持つ
上記の回答とも重なりますが、「何のために、ITのトレンドをキャッチアップしたい」のですか?まずはその答えを自分で創ることです。
例えば、「ITのトレンドを知っていなければ仕事に困るかも知れず不安だから」というのなら、それは全くの杞憂です。お客様にしても、先輩や上司にしても、あなたが「新入社員であり、ITのトレンドを知らない」ことくらい承知しています。だから、「知らないから不安」というのは、理由にはならないでしょう。
かっこをつけて、知ったか振りをしても、しょせんは知らないわけです。そんな薄っぺらなメッキは直ぐに剥がれてしまいます。ならば、むしろ積極的に知らない自分を正直に晒し、「知らないので教えて下さい」と伝えた方が、好感をもってもらえるし、世の中には教えたい人が圧倒的ですから、教えてもらえると思います。
「IT企業に勤めたのだから、それぐらい抑えておきたい」のならば、上述の回答の通りです。焦らずに、いま自分に与えられたやるべきことを極めて下さい。そうすれば、自分のやるべきことの周辺の「ITのトレンド」について、キャッチアップしなければならない状況に置かれますから、自ずと詳しくなってしまいます。そして、そのそれらがどんどんとつながっていきます。
そもそも、「ITのトレンド」などという、ざっくりとした区分は無意味です。
例えば、量子コンピューターの最新動向であれば、「中性原子を利用するゲート型量子コンピューターが、先行する超電導方式やイオントラップ方式を抑え、本命になりつつある。誰も予期していなかったブレークスルーが起きてしまった。当初のロードマップを大幅に前倒しして、FTQCを数年のうちに実現してしまう可能性さえある。」。
一方、生成AIの最新動向であれば、「MetaがLlama3 70Bをオープンソースでリリースした。GPT-4を超える性能。先行するOpenAIやGoogle、Anthoropicの競争優位を脅かしかねない。」ということになるでしょう。
ともに最新のITトレンドです。同じITトレンドでも、まったく異なる話しであり、それらを「ITのトレンド」と言う言葉で、ひとくくりにしても意味がありません。
クイズ番組で勝ち上がるには、知識を広く沢山持っておくことに意味はあるでしょう。しかし、ビジネスの現場では、それだけでは使いものになりません。だからこそ、「何のために」が大切になるわけです。
もちろん、広く浅くに意味がない訳ではありません。情報の感度を上げるには、沢山の情報のインデックスを持つことが大切だからです。それを目的とするのなら次のようなやり方が有効です。
- とにかく沢山の本を読み、ネットの記事を読み漁ること。
- 知らない言葉が出てきたら直ぐに調べてみること。
- IT界隈のプロ達のSNSをフォローすること。
私もそうしています。とにかく、電車の中、休憩時間、夜寝る前など、隙間時間があれば、情報をいつも探し回っています。とにかく、可能な限り情報収集に時間を割くことです。
他にもやりたいことはいっぱいあると思います。しかし、自分の時間は限られています。自分で優先順位を付けて、やるしかありません。それだけのことのように思います。
【質問】IPAの資格取得は必要か
【回答】資格取得という結果よりも、資格を取得するために勉強する過程が大切です
資格とは、社会が求めている能力の評価基準です。資格を取るとは、その能力に達するために勉強しなければなりません。その過程で成長の加速度を上げる勉強の習慣が身につきます。
世の中にはいろいろな資格があります。質問にあったIPAの資格もそんなひとつです。専門家達が知恵を絞って作りました。ITビジネスの経験もなく専門家ではない皆さんがその善し悪しを評価しようとしても、評価しようがありません。私もまた、一般論で、いいとか悪いとか、取得すべきとか必要はないとか、評価できません。
まずは、会社が取るべし!というのであれば、取ればいいだけです。やるべきことをやればいいだけです。そういうことをしているうちに自分のできることが増え、知識も拡がりますから、やがては自分で判断できる能力も身につくでしょう。
何が必要な資格かなんて分かりませんし、いまはそれが必要な資格であっても、将来にわたって必要であり続ける保証などありません。そんな状況で、「取得するべきかどうか」を判断しても、正しい判断などできません。とにかく、取得すべきだと言うなら、取得すればいいのです。やった後に、そして、それを使える現場で仕事をして、その上で、自分なりの評価をすることが、社会人としての健全な態度であるかと思います。そんな経験を活かして、次は、あなたの後輩達に、その経験を活かして道を示していくべきです。
ITについての知識やビジネスマンとしての経験のない皆さんが、わずかな知識しかない頭の中だけで判断して、正しい答えを出せるでしょうか。いうまでもありません。ならば、皆さんよりも知恵があり、経験もある人たちの意見を受け入れ、「ぐちゃぐちゃ言わずに(笑)」やってみればいいのです。そして、結果から判断すべきです。必要だった、必要なかったは、資格を取ってから、それを現場で使ってから、自分で評価するのが健全ではないでしょうか。
「こんな資格は必要ないから取れなくてもいいんだ」なんて、現実から逃げるための理由を勝手に作らないことです。
【質問】おすすめ書籍を知りたいです!
【回答】自分にとっての「おすすめの本に巡り会う」ことが読書の楽しいですよ
あなたはなにを知りたいのでしょうか。それによって答えは変わります。また、あなたのバックグラウンドを私は知りません。そんなあなたに、一般論として、「この本がいいですよ」などと言うのは、とても失礼なことであると私は感じてしまいます。かりに、私の勝手な思いこみで、書籍を薦めても、役に立たない可能性は高いと思います。
せめて、「こういうことで困っている」、「こういうスキルを身につけたい」、「これについて知識を深めたい」というのなら、私ならこれをおすすめしますよと言えるかもしれません。
もし、無駄な買い物をせずに、直ぐに役に立つことが書いてある書籍が欲しいと言うのなら、答えるのはとても難しいですね。
そんなことを期待しないで、面白そうだと思ったら、迷わず買うことです。私も本を沢山買っています。そして読みますが、はじめの何ページかで辞めてしまうのも少なくありません。そして、さっさと新しい本を読みはじめます。そういうムダと思えることを繰り返すことで、本を選ぶ眼力が磨かれ、ムダな買い物も減っていきます。
そんな経験を重ねても、これぞという本に巡り会えるのは年に10冊もありません。そこそこでも30冊はないでしょうね。本を読むとは、そういうプロセスを経験することが大切なのだと私は思います。こういう経験を積み上げていくことで、自分にとっての「おすすめの本」にいつしか巡り会うことができます。それこそが本を読む醍醐味だと思います。
【質問】ユーザー企業のITレベル上がったら、その中での自分たちIT業界の価値は何になるんだろう
【回答】ITを使ってお客様を幸せにする先生
あなたは、Wordが使えますよね。じゃあ、あなたは、Wordを使って芥川賞や直木賞(本屋大賞でもいいです)を受賞できるほどの、人に感動を与えられる文章を書くことができるでしょうか。多分、ほとんどの人はそれができません。しかし、「書けるようになりたい」と思う人は少なからずいらっしゃるはずです。
そういう人に、「このように書いてください。そうすれば、芥川賞レベルの文章になりますよ」と教えてあげられれば、「是非、お願いします」という人は少なくないはずです。
自分にできないことをやってくれるから、人はやってくれたことに対価を払うわけです。だから、ITでお金をもらう皆さんは、ITを使うことを前提に、お客様にできないことを提供して、お金をもらわなくてはなりません。
IT業界の価値は、「このようにしてください。そうすれば、御社の業績は大幅に向上します」と言える先生です。
ITはますますコモディティ(なくてはならないけれど、何を使っても大差なく、誰もが当たり前に使えるもの)になるでしょう。でも、それをどう使いこなせば、業績に貢献できるかは、別の話です。それを教えてあげなくてはなりません。そのためには、ITだけではなく、経営や事業、マーケティングや心理学、哲学や美術、文学などの幅広い教養が必要です。そういう総合力で、ITを活かした仕事の仕方や経営のあり方、事業を提案し、お客様の業績向上に貢献すること、つまりお客様を幸せに導く先生ですね。IT業界の価値はそんなところにあるのだと思います。
皆さんは、そんなお客様の先生にならなければ、仕事になりません。その覚悟が必要です。別に、これはIT業界に限った話しではありません。どんな仕事でも、同じではないでしょうか。
【質問】日本人の感性は情報化社会に向いてないのかも
【回答】そんなことはありません。潜在力は大きく、それを引き出すのが皆さんの仕事です
1968年 新日鉄(現在の日本製鉄)が世界で初めてオンラインリアルタイムシステムを全面的かつ総合的に使用して24時間365日稼働する製鉄所を誕生させました。そしてITを駆使しながら日本の高度経済成長期を支えていきました。日本は、コンピューターの黎明期に、世界で最先端のコンピューターの使い方をしていたのです。
アジャイル開発は、もはやシステム開発の前提です。そんなアジャイル開発の考え方の土台となっているのは、1948年から続くトヨタ生産方式(TPS)です。このTPSをシステム開発に適用したのが、アジャイル開発です。
情報化社会にあって、日本人の感性の伝統は捨てたものではありません。ただ、急速なテクノロジーの発展に追いつけず、古い技術ややり方に引きこもっている人たちが多いことも確かです。それが「情報化社会に向いていない」と感じる所以かも知れませんね。
だからこそ、皆さんの役割があるのです。デジタル・ネイティブなみなさんだからこそできること、感じられること、気がつくことがあります。おじさんたちなんかより、よほどこの点では皆さんのほうが勝っています。これを活かして、日本の社会をかつてのようなデジタル先進国にするために、「デジタル引き籠もり」の人たちを解放することこそ、皆さんの仕事ではないでしょうか。
【質問】ChatGPT、わからない概念について「小学生(中学生)にもわかるように説明してほしい」ってお願いすると考える糸口になるから便利でした
【回答】素晴らしい。行動して、結果から考えると判断の精度は上がります
既に述べたとおり、皆さんの経験や知識はわずかです。そんな頭で考えて答えを出そうとしても、まともな答えなど出てきません。正しい答えを得たければ、「行動して、結果から考える」のが最善策です。
これは、新入社員だけではありません。変化が速く、未来が予測できないいまの時代に、予め用意された正解などありません。いまは正解でも、明日の正解とは限りません。
だから、まずは考えるのですが、考えすぎずに、この辺でいいかなと思ったら躊躇することなく実行して、結果から判断して改善を重ね、自分の正解を創ってゆくことです。そういうことを繰り返し、自分の感性を磨いていく必要があります。
これこそが、AIと人間の知性の違いです。人間は、身体で感じることで、現実世界と論理世界を結びつけることができます。AIにはこれができません。だからこそ、AIのできることがますます増えていく時代には、「行動して、結果から考えて判断」することが、ますます大切になってくるのだと思います。
「やってみて便利だった」という体験は素晴らしいことです。そういう体験を繰り返すことで、あなたの感性や知性は磨かれていきます。
【質問】転職についてどうお考えですか?
【回答】転職に逃げるな。転職は自分をステップアップする手段
転職には3つのタイプがあります。
- 逃げる転職
- 横滑りの転職
- 人生をステップアップする転職
逃げる転職
この会社の仕事がメチャクチャで、どう考えてもブラックだからというのなら、さっさと転職した方がいいですね(笑)。
横滑りの転職
会社の価値は給与や待遇だけで決まるものではありません。自分を成長させ、人生を豊かにしてくれる「機会を与えてくれる」かどうかもまた大切です。
「機会」という言葉をあえて使ったのは、その「機会」を活かせるかどうかは、自分自身だからです。どんなに素晴らしい「機会」が与えられていても、それに気がつかず、活かせない人は沢山います。
また、「この会社はダメだ」と自分の会社を批判する人もいます。自分もまた会社を作っている当事者のひとりであるという自覚がないわけで、天に向かってつばを吐きかけているようなものです。もし、「ダメだ」というのなら、当事者として、自らが進んでその変革に取り組んでいるのならいいのですが、残念ながら、評論家に留まっている人も少なくありません。変革に取り組むなんて、最高に楽しい成長の「機会」なのにと思うのですが、もったいないですね。
このような状況で転職しても、転職先でも同じように考え、行動する人が多いように思います。転職時に待遇は一時的に上がっても、また同じことを繰り返しますから、横滑りの繰り返しで、長い目で見れば、むしろ残念な結果になる可能性が高いように思います。
人生をステップアップする転職
いま目の前にある仕事を徹底してこなせば、自らが転職を求めずとも、「是非来て下さい」と向こうからお誘いがかかります。そういう人材はいまの会社でも必要とされる人材ですから、さらに成長の機会を与えられ、待遇も良くなります。そうすれば、人生をステップアップする選択肢のひとつとして、転職という手段が使えます。
転職するとかしないとかを考える前に、まずは自分をそういう状況に高めることに専心すべきでしょう。
最初から「うまく行かなかったら転職すればいい」という逃げ道を用意しておくのは、私は賛成できません。ダメダメ会社なら逃げるにしかずですが、徹底してやってもダメならば、その時考えるのがいいようにおもいます。そういうことができる人は、気がついたら引く手あまたです。転職先を選ぶのに困ってしまう状況で転職を考えてはいかがでしょうか。
自分の視野を広げたい、積み上げたスキルを新たな場で活かしてみたい、新しいことにチャレンジしたいという転職も大賛成です。ただ、それが、現実からの逃避ではないこと、自分の成長の機会になること、そんなことをよく考えてなら判断するのがいいでしょう。そうやって決断を下しての転職であれば、あなたはその新しい機会を成長の機会としていかせるはずです。
もしかしたら転職ではなく、自分の会社でプロモーションできるかも知れます。まともな会社ならそういう人材を求めているからです。起業という選択肢もあるでしょう。もう、ITやり尽くしたから、新たな可能性にチャレンジしようというのもあるでしょう。そういう選択肢を沢山持てる自分になることが、何よりも大切だと思います。転職というのは、そんなステップアップの機会にすべきです。
【質問】優秀な人材とはどんな人ですか?どうやったらなれるのでしょうか?
【回答】高い基礎力を持ち、言語化能力の高い人
優秀と感じる人に共通しているのは、普遍的でぶれることのない基礎知識を身につけている人です。例えば、新しい技術や製品が登場したとき、優秀な人は、それらを自分の持っている基礎や基本と照らし合わせ、何が変わらないことなのか、何が新しいことなのかを直ぐに見分けることができます。そして、どれだけの価値が、新たに加わったかを直ちに評価できます。「本質を見抜く力」と言えるかもしれません。
もし優秀なエンジニアになりたければ、まずは徹底してプログラミング能力を磨くことであり、次にLinuxの仕組みやコマンド、TCP/IPと通信プロトコルなどの知識を極めることでしょう。つまり、「動くプログラムを書く能力」ではなく、「プログラムが動く仕組みを理解し、使いこなせる能力」を磨くことです。
AIがプログラムコードを生成できる時代でも、生成されたコードを評価することや、そもそも、どんなプログラムを何のために書くかを決めるのは人間です。そのためには、HTMLやPythonが書けるだけでは不十分で、LinuxやTCP/IPなどのコンピューターを使っての動かす仕組みとプログラム・コードとの関係を理解しておかなくてはなりません。そんな能力があればこそ、質の高いコードが書けるのです。ただ、このような能力を身につけるには、相当に気合いを入れて学び続けなくてはなりません。
AIの進化とともにプログラム・コーディングやテストの生産性は大幅に向上するでしょう。そのことは、エンジニアの仕事を奪うわけではなく、手間のかかる作業工程をAIに任せられるようになり、人間はより高度な作業、つまり、「どのようなシステムを作るべきか」、「そのためにはどのような技術を使うべきか」、「どのように生産性や付加価値を高められるか」というようなことに意識や時間を割くことができるようになります。また、沢山の開発テーマに対応し、ビジネスの第一線の変化にも即応できる能力が持てるのです。
また、言語化能力も大切です。ビジネスは自分以外の他人との関係で成り立ちます。同じ仕事に携わるチームであっても、お客様であっても、言葉を通じたコミュニケーションが必要です。あなたがどれほど優秀でも、多くの知識を持っていても、それを相手に分かるように言葉にしなければ、役立てることはできません。
「言葉にできる」とは、「知識を使いこなせる、正しく理解できている」ことの証しでもあります。例え自分が「知っているつもり」でも、言葉にできなければ「知らない」あるいは「十分には理解できていない」ということでもあります。
優秀な人材と言える人は、「基礎知識」に精通し、それを言葉にできる人です。ぜひ、あなたもそんな能力を磨き、優秀な人材になって下さい。
以上
新入社員のための「1日研修/1万円」
今年で8年目を迎える恒例の”新入社員のための「1日研修/1万円」”の募集を始めました。
社会人として必要なITの常識を学び、ITに関わることのやり甲斐を考える
ChatGPTや生成AIの登場でビジネスの前提が大きく変わってしまいました。DXもまた再定義を余儀なくされています。アジャイル開発はもはや前提となりました。しかし、ChatGPTに代表される生成AIが何か、何ができるのかも知らず、DXとデジタル化を区別できず、なぜアジャイル開発なのかがわからないままに、現場に放り出されてしまえば、自信を無くしてしまいます。
そんな彼らに、いまのITの常識をわかりやすく、体系的に解説し、これから取り組む自分の仕事に自信とやり甲斐を持ってもらおうと企画しました。
お客様の話していることが分かる、社内の議論についてゆける、仕事が楽しくなる。そんな自信を手にして下さい。
【前提知識は不要】
ITについての前提知識は不要です。ITベンダー/SI事業者であるかどうかにかかわらず、ユーザー企業の皆様にもご参加頂けます。
これからの営業の役割や仕事の進め方を学び、磨くべきスキルを考える
ChatGPTの登場により、ビジネス環境が大きく変わってしまいました。もはや、お客様からの要望や期待に応えて、迅速に対応するだけでは、営業は務まりません。お客様の良き相談相手、あるいは教師となって、お客様の要望や期待を引き出すことが、これからの営業には求められています。
AIやテクノロジーに任せるべきことはしっかりと任せ、人間の営業として何をすべきか、そのためにいかなる知識やスキルを身につけるべきなのか。そんな、これからの営業の基本を学びます。また、営業という仕事のやり甲斐や醍醐味についても、考えてもらえる機会を提供致します。
【募集開始】次期・ITソリューション塾・第46期(2024年5月15日[水]開講)
ChatGPTをはじめとした生成AIの登場から、わずか1年半で、IT界隈の常識が一気に変わってしまいました。インターネットやスマートフォンの登場により、私たちの日常が大きく変わってしまったことに匹敵する、大きな変化です。いま社会は大きな転換点を迎えています。
システムの開発や運用、さらには様々なシスカテム案件が、「AI前提」となりつつあります。これに対処できるかどうかが、企業や個人を問わず、格差につながっていくことは、紛れもない現実です。ITベンダー/SI事業者の皆さんにとっては、これまでのビジネスの前提が失われ、既存の延長線上で事業を継続することは、難しくなるでしょう。また、ユーザー企業の皆さんにとっては、内製化を加速させるチャンスが到来したとも言えるでしょう。
ITに関わる仕事をしている人たちは、この変化の背景にあるテクノロジーの進化を正しく理解し、自分たちのビジネスに、あるいは、お客様への提案に、活かす方法を見つけなくてはなりません。
ITソリューション塾は、そんなITの最新トレンドを体系的に分かりやすくお伝えするとともに、ビジネスとの関係やこれからの戦略を解説し、どのように実践につなげればいいのかを考えます。
次のような皆さんには、きっとお役に立つはずです。
- SI事業者/ITベンダー企業にお勤めの皆さん
- ユーザー企業でIT活用やデジタル戦略に関わる皆さん
- デジタルを武器に事業の改革や新規開発に取り組もうとされている皆さん
- IT業界以外から、SI事業者/ITベンダー企業に転職された皆さん
- デジタル人材/DX人材の育成に関わられる皆さん
詳しくはこちらをご覧下さい。
- 期間:2024年5月15日(水)〜最終回7月24日(水) 全10回+特別補講
- 時間:毎週(水曜日*原則*) 18:30〜20:30 の2時間
- 方法:オンライン(Zoom)
- 費用:90,000円(税込み 99,000円)
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