「このままの自分で、本当にいいのだろうか」
日々の仕事に追われながら、ふとそんな思いがよぎることはないでしょうか。目の前の業務はこなせている。周囲からもそれなりに評価されている。それでも、この延長線上に、自分が本当に望む未来があるのかどうか確信が持てない。
新しい企画を任されそうになったとき、次のように考えて、一歩引いてしまったことはないでしょうか。
- 「やったことがないから」
- 「その分野の知識がないから」
- 「自分の立場では無理だから」
私たちは知らず知らずのうちに、自分の置かれた環境や、いま持っている知識やスキルの範囲を「当然の前提」として受け入れています。そして、その枠の内側でしか自分の可能性を考えなくなっているのかもしれません。
経験だけで学んできたことの、見えにくい限界
多くのビジネスパーソンは、仕事の大半を現場で学んできました。先輩の背中を見て覚え、失敗しながら身につけてきたことは、かけがえのない財産です。
しかし、ここで立ち止まって考えてみてください。
私たちは、仕事の基礎や基本、あるいはその背後にある原理や原則を、体系的に学んだことがあったでしょうか。
- 顧客の課題はどうすれば見つかるのか。
- 市場の大きさはどう見積もるのか。
- 競合に勝てる立ち位置はどう決めるのか。
- 利益が持続する仕組みはどう組み立てるのか。
こうしたことを、場当たり的な経験としてではなく、筋道の通った「型」として学ぶ機会は、ほとんどなかったのではないでしょうか。
経験から学ぶことには、一つの宿命があります。それは、与えられた経験の範囲でしか学べないということです。営業を長く続けてきた人は営業の経験から、製造現場にいた人は現場の経験から学びます。それ自体は尊いことです。けれども、能力を伸ばすチャンスもまた、与えられた経験の範囲にとどまってしまいます。経験したことのない仕事に向き合ったとき、頼るべき足場がないのです。
基礎や基本、原理や原則を身につけていれば、話は変わります。初めての場面でも「何から考え、何を確かめ、何を決めればよいのか」という道筋を自ら描くことができます。原理原則は、経験の外側へ踏み出すための地図です。その地図を持たないまま、私たちは「やったことがない」ことを、挑戦しない理由にしてきたのではないでしょうか。
これまで「当然」だった制約は、もう当然ではない
知識がない。経験がない。調べる時間がない。専門家に相談する予算もない。
少し前までなら、これらは挑戦をあきらめるに足る、もっともな理由でした。しかし、生成AIの登場によって、その前提は大きく変わりつつあります。
AIは、私たちに足りない知識を補い、経験のない分野についても的確な見立てを示してくれます。
- 市場の規模を論理的に推計する。
- 競合の構造的な弱点をあぶり出す。
- 厳しい役員を演じさせて、想定問答を重ねる。
これまでなら専門家の力を借りなければできなかったことが、一人の手で、しかも短時間でできるようになりました。
私はこれを「知性の強化スーツ」と呼んでいます。AIを身にまとえば、これまでの自分では届かなかった領域にまで思考を伸ばすことができます。そう考えれば、AIを単なる時短や効率化の道具にとどめておくのは、あまりにもったいないことです。AIの本当の価値は、自分ひとりではできなかった新しい価値を生み出し、会社や社会に貢献する力を与えてくれるところにあります。
ただし、忘れてはならないことがあります。AIが示すのは、あくまで精度の高い仮説にすぎません。何を解決したいのかという問いを立てるのは人間です。どの道を選ぶかを決め、その結果に責任を負うのも人間です。現場に足を運び、顧客の声を聞き、現物で確かめる営みも、人間にしかできません。AIが知識と作業を補ってくれるからこそ、人間は「問い」と「決断」に全力を注ぐことができるのです。
限界を突破する体験を、30日間で
こうした思いを形にしたのが、日経BPから出版した『AI実践ドリル30日チャレンジ 仕事にすぐ効くAI活用』です。
本書はAIの操作マニュアルではありません。新規事業を構想し、計画に仕立てるまでの基礎と基本を、AIと共に手を動かしながら体験的に学ぶための実践ドリルです。題材に新規事業を選んだのには理由があります。事業を組み立てる過程には、ビジネスに必要な思考のほとんどが詰まっているからです。
本書で順に向き合う問いは、次の6つです。
- どこで戦うのか
- 誰の、どんな悩みを解決するのか
- どうすれば勝てるのか
- どうやって稼ぐのか
- 経営陣が納得する数字とリスクへの備えはあるか
- どうすれば人の心を動かせるか
これらは、顧客への営業提案にも、業務や事業の改革を企画するときにも、そのまま通じます。新規事業の担当であるかどうかに関係なく、ビジネスパーソンとしての思考回路そのものを鍛え直すことができます。
物語の主人公は、創業55年の町工場の管理職、澤田一郎です。新規事業の経験も専門知識もない「普通の管理職」が、社長から新しい事業の柱をつくれと命じられ、AIを相棒に、30日で年商3億円を目指す事業計画を組み上げていきます。読者の皆さんは、まず彼のプロンプトをなぞって型を体験し、次に実践テンプレートを使って、ご自身の仕事や会社のテーマで二周目に挑んでください。1日1つ、小さな課題を積み重ねるうちに、原理原則が知識ではなく「使える力」として身体に刻まれていきます。
使うのは、誰でも書ける普通の言葉だけです。複雑なプロンプトの技法は必要ありません。
可能性は、経験の範囲で決まるものではない
30日間を終えたとき、皆さんの手元には一冊の事業企画書が残ります。けれども本当に手にしてほしいのは、企画書そのものではありません。「やったことがない」ことを、自分の力で成し遂げたという経験です。そして、「自分にはできる」という確かな手応えです。
私たちの可能性は、いまいる環境や、これまでの経験の範囲で決まるものではありません。限界だと思っていたものの多くは、実は自分自身が引いてきた線にすぎないのかもしれません。その線の外側へ一歩を踏み出すための足場として、本書を役立てていただければと願っています。
自分の可能性を、もう一度信じてみたい。そう感じた方に、ぜひ手に取っていただきたい一冊です。
『AI実践ドリル30日チャレンジ 仕事にすぐ効くAI活用』(日経BP)
どうぞよろしくお願いいたします。
【募集開始】ITソリューション塾・第53期・10月7日(水)開講
AI時代を生き抜くための最新ITトレンドとビジネスの常識を手に入れる
「AIをどう使えばいいのか?」
いまなお、この問いに留まっているとすれば、AIの本質は、まだ見えていないのかもしれません。
18世紀後半の産業革命、20世紀半ばのIT革命。これらは、新しい技術が暮らしを便利にし、生産性を高めただけではありません。社会の仕組みや制度、働き方や雇用のかたち、ビジネスの常識、そして人々の生き方にまで及び、世の中を根底から変えてしまいました。
私たちはいま、AI革命の只中にいます。AIを数ある道具のひとつとして扱い、「どう使うか」を考えている限り、その真価を引き出すことはできないでしょう。問いは、すでに変わっています。
「AIで、ビジネスは、社会は、どう変わるのか?」
この問いに答えを持たないまま、システムを提案し、要件を定め、投資を判断する。それは、地図を持たずに航海に出るようなものです。
ITソリューション塾は、2008年の開講以来、約5000人の卒業生を送り出し、今年で18年目を迎えます。ユーザー企業の情報システム部門やDX推進の担当者、IT企業の営業やエンジニア、経営に携わる方々。立場は違っても、「ITの現在地を体系的に掴みたい」という思いは同じです。
この塾では、技術の名前を並べて覚えるのではなく、その背後にある仕組みと潮流を読み解きます。AIやクラウド、アジャイルやDevOpsといった個々のテーマが、なぜいま重要なのか、互いにどうつながっているのか。そのつながりが見えたとき、ニュースの見え方も、お客様との会話も、明日の判断も変わります。講師は、第一線の現場で今まさに実践している人たちです。教科書にはない、生きた知見をお伝えします。
そして、最後にもうひとつの問いを、皆さんとともに考えたいと思います。
「AIで、自分をどう変えるのか?」
技術の変化を眺める側にいるのか、変化を起こす側に立つのか。10週間後、その答えを自分の言葉で語れるようになっていただくこと。それが、この塾の目指すところです。
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日程 初回 2026年10月7日(水)〜最終回 12月16日(水) 毎週18:30〜20:30
※11月10日(火)のみ火曜開催
回数 全10回+特別補講
定員 120名
会場 オンライン
料金 ¥90,000-(税込 ¥99,000)
全期間の参加費と資料・教材を含む
※詳細はこちらをご覧ください。




