「AIに仕事が奪われる」という言葉を、毎日のように耳にするようになりました。特に「営業」という仕事は、その筆頭に挙げられることも少なくありません。
AIが最適な商品を瞬時に提案し、AIアバターが円滑にコミュニケーションをこなし、AIが営業担当者のノルマを自動で管理する。そんな未来が、すぐそこまで来ています。
これらは、いずれ現実のものとなるかもしれません。しかし、もしそうだとしても、営業という仕事の核心は、決して揺らぐことはありません。なぜなら、どれだけAIが進化しようとも、決して代替できない領域が存在するからです。
お客様の「決断」と、AIには背負えない「責任」の重さ
考えてみてください。お客様が何かを購入し、新しいサービスを導入する。それは、一つの大きな「決断」です。そして、あらゆる決断には、必ず「責任」が伴います。
「この投資判断は、本当に正しかったのか?」 「期待した成果が出なかったら、どうしよう?」 「社内から反対意見が出たら、どう説明すればいい?」
意思決定者であるお客様は、常にこうしたプレッシャーや不安と戦っています。では、その重い責任を、AIは共に背負ってくれるのでしょうか?
答えは、明確に「否」です。AIは責任を取ることができません。
AIは、過去の膨大なデータを分析し、誰もが納得するような、論理的で一般的な「正解らしきもの」を導き出すことは得意でしょう。しかし、現実のビジネスは、一般論だけでは動きません。
AIが示すのは、あくまで論理的な「一般解」です。しかし、ビジネスの現場は、お客様の価値観、企業文化、その時々の状況といった、無数の変数で動いています。だからこそ人間は、データだけでは測れない「特別な選択」をしなければならないのです。 なぜなら、その選択の結果に対する責任は、AIではなく、決断した人間が負うからです。「AIがこのように回答したので、それに従っただけです」という説明では、誰も納得してはくれないでしょう。
AIは「参謀」、決断と覚悟は「人間」の領域
ここで、AI時代の営業の真の役割が浮かび上がってきます。それは、AIを賢く活用しつつ、お客様の「責任」を正面から引き受けることです。
AIは、あくまで優秀な「参謀」にすぎません。豊富な選択肢や客観的なデータを示して判断材料は提供しますが、最終的な決断を下し、その結果責任を負うのは、指揮官である人間にしかできないのです。 AIが提示するデータや分析のおかげで、人間は、より的確な判断を下せる可能性は格段に高まるでしょう。
しかし、だからといって、AIに責任まで委ねることはできません。営業の役割とは、その優秀な参謀の助言を元に、お客様と共に悩み、考え抜き、そして最終的に下される決断に対して、「その責任は、私も一緒に背負います」と覚悟を示すことなのです。
「この決断が必ず成功だったと言えるよう、導入後も私が責任をもって伴走します」 「AIが予測する潜在的なリスクについても、先回りして対策を考え、共に乗り越える準備をしましょう」 「お客様の未来にとって最善の選択だったと確信いただけるまで、全力でサポートします」
お客様の不安やリスクを共に引き受け、負担を軽くする。AIには決してできない、この人間的な関与こそが、お客様を単なる「業者」ではなく、未来を共創する「パートナー」として信頼していただくための唯一の道です。
「覚悟」がなければ、パートナーにはなれない
もちろん、「責任を共に背負う」と口で言うのは簡単です。それを本気で実践するには、相応の「覚悟」が求められます。
その覚悟の土台となるのが、深い知識と誠実さです。AIが提示する情報を鵜呑みにするのではなく、その背景を深く理解し、お客様の状況に合わせて解釈し、価値を最大化するための道筋を示す必要があります。その提案は、製品単体の話に留まらず、組織や体制、人材育成といった広範な視点を持つべきです。
さらに、真のパートナーとなるためには、誠実さ、すなわちAIが示唆しない自社製品の限界や、できないことを正直に伝える勇気も必要です。世の中に百点満点の万能薬はありません。強みは最大限に活かし、弱みはどう補完すべきかまで含めて提案する。
その姿勢は、自社の短期的な利益のためではありません。すべては、お客様を成功に導き、お客様の「決断に対する責任」を、私たちが本気で引き受けるためなのです。
この覚悟があるからこそ、営業という仕事は、単なる「物売り」や「AIのオペレーター」を超えた、やりがいに満ちたものへと昇華します。
お客様の成功を、我がことのように喜ぶ。 お客様の痛みを、我がことのように感じる。
AIという強力な参謀を従え、最後は人間ならではの熱い想いを胸に、お客様の「責任」ごと向き合っていく。それこそが、これからの時代を勝ち抜く「営業」の「あるべき姿」だと私は思います。
今年も開催!新入社員のための1日研修・1万円
AI前提の社会となり、DXは再定義を余儀なくされています。アジャイル開発やクラウドネイティブなどのモダンITはもはや前提です。しかし、AIが何かも知らず、DXとデジタル化を区別できず、なぜモダンITなのかがわからないままに、現場に放り出されてしまえば、お客様からの信頼は得られず、自信を無くしてしまいます。
営業のスタイルも、求められるスキルも変わります。AIを武器にできれば、経験が浅くてもお客様に刺さる提案もできるようになります。
本研修では、そんないまのITの常識を踏まえつつ、これからのITプロフェッショナルとしての働き方を学び、これから関わる自分の仕事に自信とやり甲斐を持ってもらおうことを目的としています。
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100名/回(オンライン/Zoom)
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【第1回】 2025年6月10日(火) ※終了しました
【第2回】 2025年7月10日(木) ※まもなく締め切ります
【第3回】 2025年8月20日(水)
【図解】これ1枚でわかる最新ITトレンド・改訂第5版
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